4v4 Help-Rotation Drill
ヘルプローテーションの練習、どうやっていますか?
多くのチームがやっているのは、こんな練習だと思います。
ドライブが入ったところで止める。「ここでヘルプに行って、カバーダウンして…」と説明する。選手が頷く。もう一度やり直す。また止める。説明する。やり直す。
1シチュエーション教えるのに、何分かかっていますか?
私もずっとこのやり方でした。
正直に言います。3年くらい、ずっとこれでやっていました。止めて説明、止めて説明。選手は頭では理解しているんです。
ホワイトボードの前で「ここでヘルプ、ここでカバーダウン」と聞けば、「はい、わかりました」と言う。でも、試合になると動けない。
なぜか。
止まっているからです。
体に染み込んでいないんです。
今回ご紹介するのは、この問題を根本から解決するドリルです。
4v4 Help-Rotation Drill。
私が今、最もオススメしている練習メニューです。できれば毎日やってほしい。それくらい効果があります。
このドリルの何がすごいのか?
一言で言うと、コンティニュイティ(循環)で練習できることです。止めずに、流れの中でヘルプローテーションを繰り返し練習できる。だから反復回数が圧倒的に増える。形が体に染み込む。
ほとんどのヘルプローテーション練習は非効率です。このドリルは違います。
ヘルプローテーションの練習が非効率になる理由は、大きく2つあります。
理由1:止まるから染み込まない
これが最大の問題です。
ヘルプローテーションは、本来「流れ」の中で起きるものです。
ドライブが入る。ヘルプが出る。パスが回る。リカバーする。また次の展開が起きる。この一連の流れが途切れずに続く。試合ではそうですよね。
ところが、練習では止まってしまう。
1シチュエーションを切り取って、「ここでこう動く」と教える。選手は理解する。でも、次のシチュエーションに移るまでに時間がかかる。また止める。また説明する。
この繰り返しでは、反復回数が稼げません。
運動学習の基本を思い出してください。
動きを身につけるには反復が必要です。ただし、反復は「連続した流れの中で」行われたときに最も効果が高い。
止まって、考えて、やり直す、ではなく、流れの中で何度も繰り返すことで、体が覚える。
止めて説明する練習は、この原則に反しています。
理由2:人数設定が練習効率を下げている
もう1つの問題は、人数設定です。
ヘルプローテーションの練習、何対何でやっていますか?
3対3?5対5?実は、どちらも最適解ではありません。
3対3の場合
バスケの最小単位は3対3です。
1対1、2対2、3対3で、バスケットボールのほとんどの原則が学べます。だから3対3は有効な練習形態です。
ただし、ヘルプローテーションの練習としては問題があります。
スペースが多すぎるんです。
ハーフコートに6人しかいない。選手間の距離が広くなる。
すると、ヘルプに行く必要がない場面が増えてしまいます。ドライブが入っても、そのままオンボールDFが1対1で守れてしまう。ヘルプローテーションが発生しない。
さらに、3対3で身につけた感覚は、5対5の密度感に昇華しにくい。試合では10人がひしめき合う中でヘルプローテーションが起きます。
3対3のスペースに慣れた選手は、試合の密度感に戸惑う。「練習ではできるのに、試合になると動けない」という現象の原因の一つがここにあります。
5対5の場合
では5対5ならいいのか。これもまた問題があります。
5対5だと、ヘルプ発生シーンの回数が少なくなるんです。10人いると、すべてのポジションが埋まります。
誰がどこに動くかが決まりきっている。オンボールDFが抜かれそうになっても、すぐ横にチームメイトがいる。ヘルプに行く必要がない場面が多い。
ヘルプローテーションを練習したいのに、ヘルプが発生しない。これでは練習強度が落ちます。
5対5でヘルプローテーションの練習をすると、1回の練習で実際にローテーションが起きる回数は、想像以上に少ないはずです。
数えてみてください。30分練習して、ヘルプローテーションが何回起きましたか?
このドリルは4対4で行います。
なぜ4対4なのか。3つの理由があります。
理由1:5対5に近い密度を再現できる
4対4なら、ハーフコートに8人います。
5対5の10人には及びませんが、3対3の6人よりはるかに密度が高い。試合に近い感覚でヘルプローテーションを練習できます。
3対3で「スペースがありすぎる」問題も解消されます。
理由2:ヘルプ発生回数が確保できる
5対5と違い、4対4には「1人分の空き」があります。
5対5では、すべてのポジションが埋まっているため、ヘルプに行く必要がない場面が多い。
でも4対4では、必ずどこかに「カバーしきれない場所」が生まれます。だからヘルプが必要になる。ローテーションが発生する。
練習強度を高く保てます。
理由3:コンティニュイティで練習できる
これが最大のポイントです。
このドリルは、4対4でコンティニュイティ(循環)練習ができるように設計されています。
一度スタートすると、ヘルプローテーションが起き、パスが回り、リカバーして、また次の展開が起き…という流れが、止まることなく続きます。
Phase 1からPhase 9まで進むと、また元の形に戻る。そしてPhase 1から繰り返す。
止めて説明する必要がない。流れの中で、何度もヘルプローテーションを繰り返すことができる。
これが恐ろしく効率的なんです。
従来の練習では、30分で10回しかローテーションを練習できなかったかもしれない。このドリルなら、30分で50回、100回と練習できます。反復回数が5倍、10倍になる。
形から覚える。コンティニュイティで反復する。これがこのドリルの設計思想です。
おまけ:8人で2チーム作れる
地味なメリットですが、これも大きいです。
8人いれば、4人×2チームで回せます。OF→DF→休憩のサイクルで回すと、待ち時間が少なく、効率よく練習できます。少人数のチームでも実施しやすい。
ドリルの解説に入る前に、絶対に忘れてほしくないことがあります。
マンツーマンDFの基本は1対1です。
ヘルプローテーションは、1対1の上に成り立つものです。この前提をすっ飛ばしてHelp Rotationを練習するのは本末転倒。いくらローテーションの形を覚えても、チームDFは機能しません。
1対1で徹底すべき3つのこと
- ①持たせない:パスを簡単に受けさせない。ボールが入る前の段階で、マークマンの自由を奪う。
- ②打たせない:シュートを簡単に打たせない。クローズアウトの距離感、手の使い方、足の運び方。
- ③破らせない:ドライブで簡単に抜かれない。フットワーク、ボディポジション、予測。
自分のマークマンに対してこれらを徹底した上でのHelp Rotationです。
逆に言えば、1対1がしっかりしていれば、ヘルプが必要になる場面自体が減ります。オンボールDFが1人で守れるなら、ヘルプは不要です。
そして、本当に必要なときだけ、的確にヘルプに行ける。
これが「機能するチームDF」です。
1対1がザルのまま、ローテーションだけ上手くなっても意味がありません。毎回ヘルプが必要になる状況では、いくらローテーションしても追いつかない。
この前提を絶対に忘れないでください。
さて、ここからは実際の動きについて解説していきます。
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