速攻
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フリースロー速攻:1ゲーム平均7点の隠れた武器

Coach KAZU
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はじめに

フリースロー速攻 1ゲーム平均7点の 隠れた武器


相手のフリースローが入った直後に、チームがゆっくり歩いてフロントコートに戻る景色を、長いこと普通だと思っていました。そこに7点分の取りこぼしが眠っていると気づいたのは、試合のスタッツを並べて足し算してからです。誰もが「失点した直後」と思っている瞬間は、相手も最も油断している瞬間でした。

フリースロー成功後の数秒が、最も狙えるチャンスだったのです。

5人がゆっくりフロントコートへ歩いていく。相手の5人も、のんびり戻る。

セットオフェンスが始まる。24秒クロックが回る。いつもの展開。

でも、もしこの瞬間に速攻が出せたら?

相手はフリースローを「決めた」直後。気持ちが緩んでいる。戻りが遅い。レイアップまで3秒。




思い込みの点検

フリースロー後の速攻:見えていない数字


フリースローは1試合に何回あるか。

高校レベルの試合で、相手チームのフリースロー試投数は複数回。そのうち多くが成功します。

フリースロー成功後のインバウンズは、「ボールの所有が転換する原因」の一つ。具体的には「相手の自由投の最後の成功からのインバウンズ・プレー」です。

この場面が、1試合に10〜15回ある。

仮にその半分、5〜7回を速攻に変えられたらどうなるか。レイアップの期待値を1本あたり1.2〜1.4点とすれば、1ゲーム平均7点

フリースロー後の速攻だけで1試合7点。これは小さな数字ではありません。

接戦の試合を思い出してください。5点差、3点差で負けた試合。あの7点があれば、結果は変わっていました。


diagram

図1:フリースロー後の速攻だけで1試合7点。小さくない数字





核心

なぜ、この7点を拾えないのか?


理由は単純です。準備していないから

速攻の練習というと、リバウンドからの3線速攻法を思い浮かべる。あるいはスティールからのワン・マン・ブレーク。

でも、フリースロー後のインバウンズから速攻を仕掛ける練習を、あなたのチームはやっていますか?

ほとんどのチームが「やっていない」と答えます。


正直、最初はどこか引っかかっていました。「フリースロー後に速攻なんて、そんな場面で本当に走れるのか」という違和感です。フリースローはゆっくりした場面。速攻のイメージとは正反対に見えていました。

以前はフリースロー後は流すだけの場面だと思っていましたが、現場を見続けて分かったのは、それは見ている側の錯覚だということです。相手も同じように「流す場面」と思っている。だからこそ、この瞬間に走られると対応できない。

フリースロー後のインバウンズは、ボール所有の転換場面の中でも特殊な位置にあります。リバウンドのように「奪い合い」がない。ターンオーバーのように「不意」でもない。エンドラインから、決められた手順でボールを入れる。

だから、ゆっくりになる。選手もコーチも「ここは速攻の場面じゃない」と思い込んでいる。

しかしボール所有が転換する6つの原因を整理すると、4番目に「相手の自由投の最後の成功からのインバウンズ・プレー」がはっきりと挙がります。ファスト・ブレーク展開の可能性を考慮すべき場面として。

むしろ、相手が油断しているこの場面こそ、速攻の効果が高い。

フリースロー後の速攻は、形ではなく構造と判断の問題です。「走り方を教える」のではなく、「いつ、誰が、どこへ動くかの判断構造を理解させる」こと。ここを間違えると、形だけ練習しても試合で機能しません。




具体場面

なぜフリースロー後は速攻が効くのか?


「ボールの所有の転換が不意であればあるほど、効果的なチャンスとなる」。

フリースロー後の速攻が効く最大の理由は、相手の心理的な隙です。

フリースローが決まった瞬間、得点した側は安心する。その安心が、戻りの速さを1秒遅くします。

1秒の遅れが、バスケットボールでは致命的です。

さらに、フリースローの配置を考えてみてください。相手の5人はどこにいるか。リバウンドに入っている2人はゴール付近。残りの3人はフリースローライン周辺。

つまり、相手の5人がフロントコートに偏っていて、自陣に戻るまでの距離が長い。

リバウンドからの速攻と比べると、フリースロー後は相手のリバウンダーがゴール下にいる分、自陣に戻るまでの距離がフルコート分あります。この距離差を突けます。


diagram

図2:フリースロー時、相手5人は全員フロントコートに偏在している


心理的な隙と物理的な距離。この二つが重なる場面は、試合中そう多くありません。フリースロー後は、その瞬間です。

ただし、カテゴリーや学年によって変わります。一概には言えません。ただ、「この場面に速攻を仕掛ける」という発想そのものは、どのカテゴリーでも有効です。




具体場面

基本配置:シンプルだから機能する


このフリースロー速攻法は、驚くほどシンプルです。

「これはシンプルなプレーであり、しかもプレーヤーにその使い方を教えて攻撃の準備をさせることでゲームの中で有効に機能させる」。

フリースロー時の配置を思い出してください。

レーンの両サイドに、自チームから2人(X1、X2)。相手も2人。フリースローラインの外に、残りの選手がいる。

マックフィーの配置の特徴は2つ。

第一に、レーン付近の2人(X1、X2)が速攻の起点になること。フリースローが決まった瞬間、あるいは最後のフリースローがリングに当たった瞬間に、この2人がボールに向かう。ボールがX1、X2の側に落ちれば、そこから直接速攻を展開する。

第二に、フリースローライン外の選手(X3、X4)が走る準備をしていること。ボール所有が確定する前に、走り出す態勢に入っている。

シンプルだけど、準備しているかどうかで結果が変わる。

原則と読みとタイミングが同時に揃わないと機能しない。X1がボールを入れる判断、X3とX4が走り出すタイミング、X5がセーフティを保つ読み。この3つが同時に成立して初めて速攻になります。本や動画だけでは揃わない。繰り返しの実践と、場面ごとの判断経験が必要です。


diagram

図3:マックフィーの基本配置。X3・X4はFT成功と同時に走り出す


ここまでが、フリースロー速攻の基本的な考え方です。数字の根拠。なぜ効くのか。基本の配置。



でも、ここからが本題です。

配置を知っただけでは、まだ使えない。フリースローが決まったとき、外れたとき、それぞれで何が変わるか。X3とX4はどのレーンを走るか。セーフティは誰が担うか。そして相手がこの速攻を読んできたときの対処法。

マックフィーの6つのオプションを図解で解説していきます。

言い切りすぎかもしれません。でも、県大会まで届かなかった私がコーチ歴5年で見てきた限り、「ただの移行」として扱うチームと「速攻の入口」として設計するチームでは、接戦の勝率に差が出ます。簡単に言えることではない。

必ず狙えます、ただし個人差やチーム差はあります。選手の走力や相手のリアクションによって成功率は変わる。それでも、設計をしているチームとしていないチームの差は埋まりません。

ここまでで輪郭は見えました。でも、これをご自身のチームで明日からどう動かすのかは、まだ腹に落ちていないでしょう。この記事を読み終えたら、いつ誰がどこへ動くかを自分で判断できるようになります。ここから先は、その手順と判断基準を具体的に組み立てるための内容です。


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Coach KAZU
バスケの戦術を考える人
チームを強くするバスケ戦術を日々研究しています。中学・高校・社会人リーグでプレー。引退後にバスケコーチのライセンスを取得。現在は静岡で中高生を指導しています。SNS総フォロワー数3.6万人。戦術に関する本も執筆。
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