X-Out Drill

Coach KAZU
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Chapter 1

キックアウトで崩れるチームの共通点

ドライブに対してヘルプが出る。

ここまでは、どのチームもできるんですよね。

問題は、その後。


キックアウトされた瞬間、全員が固まる。

「誰が行く?」という空白の0.5秒。この0.5秒で、オフェンスには十分すぎる時間が生まれてしまう。


で、さらにパスが回ると、もう誰も追いつけない。エクストラパスで完全にフリーを作られて、気づけばノーマークの3ポイント。

「ローテーションしろ!」と声をかけても、選手は動けない。


動けないというより、
「誰が」「どこに」動くべきかがわからないんです。


これ、実はチームディフェンスが苦手なチームに共通する現象です。1on1の守り方は教えられる。ヘルプの位置も教えられる。

でも、キックアウトやエクストラパスへの対応になると、途端に曖昧になる。

なぜか?


「誰がクローズアウトに行くのか?」という判断基準が、チーム内で共有されていないからです。



Chapter 2

「経験を積めば読めるようになる」の落とし穴

こういう状況に対して、よく言われるのが「経験を積めば読めるようになる」という言葉。正直、私もそう思っていた時期がありました。

試合をたくさんやれば、そのうち「勘」が育つだろう、と。


でも、これには大きな落とし穴がある。

経験から学ぶには、
「何を見ればいいか」がわかっていないといけないんです。


考えてみてください。キックアウトされた瞬間、選手は何を見ているでしょうか?


  • ボールを見ている選手
  • 自分のマークマンを見ている選手
  • なんとなく全体を見ている選手
  • そもそも何を見ていいかわからない選手


バラバラですよね。

これでは同じ経験を積んでも、学びの質がまったく違ってしまう。

「勘がいい選手」と「そうでない選手」の差は、才能ではなく、「見るべきものが明確かどうか」の差なんです。


判断基準がないまま経験を積んでも、選手は「なんとなく」の感覚で動くことになる。うまくいったときは「よかった」、失敗したときは「ダメだった」。

でも、
なぜうまくいったのか、なぜ失敗したのかがわからない。

これでは、勘は育ちません。



Chapter 3

勘の正体は「無意識化されたルール」

では、「勘がいい選手」は何が違うのか?


彼らは、意識せずに「判断基準」を持っているんです。

「こういう状況ではこう動く」というルールが、頭の中に入っている。しかも、考えなくても自動的に反応できるレベルで。


これが「勘」の正体です。

勘とは、無意識化された判断基準のこと。


言い換えると、勘は「神秘的な才能」ではなく、設計可能なものなんです。

ルールを明確にして、それを繰り返し練習する。繰り返すうちに、考えなくても身体が動くようになる。

これが「勘が育つ」ということ。


逆に言えば、ルールが曖昧なまま練習しても、勘は育たない。経験量ではなく、「ルールの明確さ × 反復の質」が勘を育てる。


じゃあ、ドライブ&キックアウトが発生した際の、チームディフェンスの「ルール」とは何か?

次の章で、具体的に説明します。



Chapter 4

たった2つのルールで守れる理由

チームディフェンスのルールというと、複雑なものを想像するかもしれません。状況ごとに細かく決めて、「こういうときはこう」「ああいうときはああ」と。

でも、それだと選手は覚えきれない。試合中に思い出せない。


実は、ヘルプローテーション発生時のチームディフェンスはたった2つのルールでカバーできます。

  1. ボールサイドは必ずマッチアップ
  2. ヘルプサイドはGet 2


これだけです。


「ボールサイド」とは、ボールがある側。ここにいるディフェンダーは、自分のマークマンに必ずついておく。


「ヘルプサイド」とは、ボールから遠い側。ここにいるディフェンダーは、「Get 2」のポジションを取る。


Get 2とは、1人で2人のオフェンスを見る状態のこと。「2人を見ておけ(とらえておけ)」という意味です。


なぜこの2つのルールで守れるのか?

ポイントは、Get 2の選手が「最初に動く」という点にあります。



Chapter 5

Get 2とエクストラパスへの対応

ここが今回の核心です。


キックアウトやエクストラパスで崩れるチームは、「誰がクローズアウトに行くか」が曖昧。だから、パスが出た瞬間に全員が固まる。


でも、Get 2のルールがあれば、この問題は解消されます。

Get 2の選手が、最初のパスに反応してクローズアウトに行く。

これがルールです。


なぜGet 2の選手なのか?

理由は単純で、一番近い位置にいるからです。


Get 2の選手は、ヘルプサイドで2人のオフェンスを見ている。つまり、どちらにパスが出ても反応できる位置にいる。

だから、最初のクローズアウトは必ずGet 2の選手が担当する。


で、ここからが大事。

Get 2の選手がクローズアウトに出ると、その選手が見ていたもう1人のオフェンスがフリーになりますよね。

このとき、近くの別の選手がクローズアウトに行くんです。


つまり、こういう連鎖が起きる。

  1. ドライブ&キックアウトが発生する

  2. Get 2の選手が最初のパスにクローズアウト

  3. 空いたもう一人のオフェンスに、別のディフェンダーがクローズアウトに行く


このような連鎖が、エクストラパスへの対応を可能にする。しかも、2人選手がクローズアウトに出るとき、Xの字を描くように交差することが多い。

だから、この動きを「X-Out」と呼びます。


ルールはシンプル。

でも、これを「考えなくてもできる」レベルまで落とし込むには、専用の練習が必要です。


次の章から、そのための練習メニュー「X-Out Drill」を、図たっぷりで詳しく解説していきます。



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