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ボール非所持者への防御:3つの仕事がある時間

Coach KAZU
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練習ではマークについていけるのに、試合でバックドアを切られて失点する。この繰り返しに心当たりがあるコーチは、少なくありません。

ベンチから「ヘルプ!」と叫ぶ。3番はキョトンとしている。「え、自分ですか?」という顔。


選手が悪いのではありません。教えていたのは「マークマンを見ろ」という動き方。ボールとマークマンとスペースのどれを優先するかという判断を教えていなかったのです。

だから失点していた。ボールとマークマンとスペース、この3つを同時に判断する視点が、そもそも育っていなかった。


裏を取られるのは、集中力や根性の問題ではありません。何を優先して見るかを教わっていなかった問題でした。

以前は「マークマンだけ見ていれば守れる」と思っていましたが、現場を見続けて分かったのは、そうではないということでした。ボールとマークマンとスペース、この3つが同時に揃わないと、オフボールは守れない。


練習ではできるのに試合で止まる、あれです。

この記事を読み終えたら、明日の練習でオフボールの何から教えるべきか、迷わず選べるようになります。


ボールとマークマンとスペース、この3つを同時に見る視野が揃わないと、オフボールは守れません。どれか1つを教えても、他の2つが崩れる。ここが「ちゃんと見ろ」だけでは解決しない理由です。


はじめに

ボールを持たない20秒に守りの結果が出る


1回の攻撃は24秒。ボールを守っているのは常に1人だけで、残り4人はオフボール。単純に計算すれば、1人あたりのボールマンDF時間は約5秒。残り19〜20秒がオフボールの時間です。

この20秒に何をすべきかを教えていないなら、ディフェンスの大半が放置されているのと同じです。

ベンチから見ていると分かります。ドライブが始まる。ヘルプに出るべき選手が棒立ちのまま。レイアップを決められる。ハーフタイムに「ヘルプしろ」と伝える。次の前半も同じ場面で同じ棒立ち。

これは選手が言うことを聞かないのではありません。「ヘルプに出るべきかどうかを判断するための立ち位置」を知らないから、動けないのです。

オフボールDFは個人技ではなく、5人で位置を埋める構造です。ボールが動くたびに全員の「仕事」が入れ替わる。その設計図を持っているチームと持っていないチームでは、同じ選手でも後半の失点数が変わります。


核心

オフボールの3つの仕事:ボールとの距離で役割が決まる


オフボールのディフェンダーには、ボールとの距離に応じて3つの仕事があります。

仕事1:パスを拒む(ワンパスアウェイ)

ボールから1パスで届く距離の選手を守る場面。パスレーンに手を出して通させない。これが「パスを拒む構え」です。ボールサイドの隣の選手へのパスを積極的に阻止します。ご自身のチームを思い浮かべてみてください。この「パスを拒む位置」に立っている選手が何人いますか。


パスが1本通るたびに、この「仕事1」を担当する選手が入れ替わります。ウイングにあったボールがトップに渡った瞬間、さっきまでパスを拒む構えを取っていた選手がヘルプ側に移り、別の選手がパスを拒む役に変わる。1回の攻撃でパスは4〜6本回ります。つまり、選手は1ポゼッション中に4〜6回、自分の仕事を切り替えなければなりません。

棒立ちの選手がいるチームと、パスのたびにスッと動くチームの違いは、走力でも根性でもない。仕事の定義が全員に共有されているかどうかだけです。


仕事2・仕事3は、有料パートで詳しく扱います。「ヘルプの準備をしているだけで、ドライバーの判断を遅らせる」という原則、そしてボールの反対側で5人目が何をすべきかという設計、この2つが教わっていないと、選手の「立ち止まり」は消えません。

選手が自分でボールとマークマンを同時に判断して立ち位置を変えられるようになる。後半も守りが崩れず安定する。その状態を作るための手順が、この先にあります。


具体場面

「ボールを見ろ」でも「マークを見ろ」でもない理由


マンツーマンで最も多い間違いは「自分のマークマンだけを見る」です。マークマンに意識が100%向いていると、ボールがどこにあるか分からない。バックドアカットに気づかない。

かといって「ボールだけを見る」とマークマンが消える。

答えは「どちらも見る位置に立つ」こと。自分(ユー)を頂点に、ボールとマークマンを両端に置いた三角形の中に立つ。首を少し回すだけで、どちらも視野に入る場所があります。

「周辺視野を広げろ」と言っても視野は広がりません。ポジショニングが正しければ、普通の視野でもボールとマークマンの両方が見える。問題は目ではなく、立つ場所なのです。


具体的にはこういう場面です。ボールが右ウイングにある。自分のマークマンは左コーナーにいる。このとき、マークマンのすぐ隣に立つのではなく、ゴール方向に「沈み込んで」ボールとマークマンの両方が視野に入る位置に立つ。ボールまでの距離が離れているほど、マークマンから離れていい。逆にボールに近い場面では、三角形を狭めてマークマンに密着します。

パスが出た瞬間にボール方向へ一歩跳ぶ。このジャンプでポジションを再構築する。それを全員が反射的にやるようになったとき、チームのディフェンスが変わります。「見えない貢献」が積み重なって、相手に「なぜか攻めにくい」と感じさせる守りができます。


(ちょっと雑談)言い切りすぎかもしれません。でも県大会まで届かなかった私が原典を読み直して気づいたのは、「どこを見るか」より「どこに立つか」の話だったということでした。立つ場所さえ変えれば、視野の問題の8割は解決するんです。ただし、カテゴリーや学年によって優先順位は変わります。一概には言えません。


では、この「3点を同時に見る立ち位置」を、ボールが動くたびに全員が取り直す、そのための設計をどう作るか。

簡単に言えることではないんです。それは、ボールの距離に応じた3つの仕事を選手全員が理解していて、パス1本のたびに「自分の仕事が変わった」と体が動く状態まで仕込む、ということだから。


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ABOUT ME
Coach KAZU
Coach KAZU
バスケの戦術を考える人
チームを強くするバスケ戦術を日々研究しています。中学・高校・社会人リーグでプレー。引退後にバスケコーチのライセンスを取得。現在は静岡で中高生を指導しています。SNS総フォロワー数3.6万人。戦術に関する本も執筆。
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