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スクリーンの設計:角度・タイミング・読みの三要素

Coach KAZU
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スクリーンが効かない原因を、スクリーナーの止まり方が甘いからだ、と長く思い込んでいました。ドリブルで突っ込ませて何度修正しても、引っかかってくれない。あるとき気づいたのは、スクリーンが効くかどうかはスクリーナーの体ではなく、その前後のタイミング設計で決まっていた、ということでした。

スクリーンは「掛けるもの」ではなく「設計するもの」だったのです。


以前は、スクリーンを「体で塞ぐ物理的なプレー」だと思っていました。だから修正も「もっとしっかり止まれ」「体を当てろ」という声かけになっていました。が、現場を見続けて分かったのは、スクリーナーがどれだけ止まっていても、角度が1歩ズレると機能しないということでした。

教えていたのは「形」でした。スクリーナーがここに立つ。ユーザーがここを通る。でも、判断を教えていなかった。ディフェンスのどの面に当てるか。ユーザーが動き出すタイミングをどう計るか。スクリーン後にどのオプションを選ぶか。この3つの読みが抜けていたのです。


スクリーンは設計するものです。形ではなく、角度・タイミング・読みの三択構造で動く。これがわかると、練習での指示も、試合での修正も、まるで変わります。

角度。タイミング。読み。この3つが揃ったとき、スクリーンは「ディフェンスを破壊する武器」になります。



はじめに

スクリーンの5種類を知る


マンツーマンディフェンスを崩すための最も有効な方法の一つがスクリーンプレーです。スクリーンの種類は次の5つに整理できます。

① ダウンスクリーン。高い位置のプレーヤーが低い位置のプレーヤーに向かってスクリーンをセットする。ユーザーは上に上がってボールを受ける。最も基本的で、最も多用されるスクリーン。

② バックスクリーン(アップスクリーン)。低い位置から高い位置に向かってセットするスクリーン。ディフェンダーの背後にセットされるため、気づきにくい。バスケットへのカットと組み合わせると破壊力が高い。

③ フレアスクリーン。ユーザーをボールから離れる方向に解放するスクリーン。3ポイントシュートとの相性が抜群。

④ クロススクリーン。コートを横切ってセットするスクリーン。ベースライン付近で使われることが多く、フレックス・オフェンスの基本構成要素。

⑤ ボールスクリーン(ピック&ロール)。ボールマンに対してセットするスクリーン。現代バスケットボールで最も使用頻度の高いアクション。


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図1:5種類のスクリーンとオフボール/オンボールの区分


これら5種類の組み合わせが、ダブルスクリーン、スタッガードスクリーン、そしてスクリーンフォースクリーナー(スクリーナーのためのスクリーン)を生み出します。中でも最も重要なのがスクリーンフォースクリーナー。スクリーンをセットした選手が次の瞬間に別のスクリーンを受けるという連鎖構造です。



設計

スクリーンを「設計」する三要素



要素1:角度(アングル)


スクリーナーの体の向きと位置。ユーザーのディフェンダーの「どの面」にスクリーンをセットするか。

正面からセットすれば、ディフェンダーは横に逃げる。横からセットすれば、ディフェンダーの後退を防ぐ。背後からセットすれば(バックスクリーン)、ディフェンダーは気づかない。

角度は、ディフェンダーの動きを「どの方向に制限したいか」から逆算して決めます。


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図2:スクリーン角度によってDFの逃げ道が変わる



要素2:タイミング


スクリーンが効いている時間は、わずか0.5〜1秒。この短い時間窓の中で、ユーザーが動かなければスクリーンは無駄になる。

スクリーナーがセットを完了する瞬間と、ユーザーが動き出す瞬間。この2つが完全に同期する必要がある。早すぎればスクリーンの前をすり抜けられる。遅すぎればスクリーナーがファウルを取られる。

タイミングの合図はアイコンタクト、声、または事前に決めた動きのパターンで取ります。


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図3:スクリーナー(S)とユーザー(U)の動きが0.5〜1秒で同期する



要素3:読み(リード)


スクリーンをセットした後、何が起きるかはディフェンスの反応次第。

スクリーナーのプレーオプション:ロール(ゴール方向に回転)、ポップアウト(外に開く)、スリップ(スクリーンをセットする前にカット)、リスクリーン(もう一度スクリーン)。

ユーザーのプレーオプション:ノーマルカット(スクリーンを使って出る)、カールカット(スクリーンをぎりぎりに使って曲がる)、フェイドカット(逆方向に離れる)、リジェクト(スクリーンを使わない)。

どのオプションを選ぶかは、ディフェンダーの位置と反応を「読んで」決めます。この読みが、スクリーンを「体で塞ぐプレー」から「知的な武器」に変える。


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図4:スクリーン後のオプションはDFの反応で決まる


スクリーンの成否を決める三要素: 角度DFの動きをどの方向に制限するか タイミング0.5〜1秒の時間窓を同期する 読みDFの反応に応じてオプションを選択する


スクリーンの5種類と三要素の骨格が見えてきたと思います。


練習ではスクリーンが通るのに、試合になると消える。あれです。

スクリーナーが止まっている、ユーザーも動いている。でも、なぜか機能しない。

その答えは、三要素が同時に揃っていないことにあります。角度だけ教えても、タイミングがズレていれば無効。タイミングが合っても、ユーザーがディフェンスの反応を読めていなければ止まる。角度・タイミング・読みの3つが同時に揃わないと、スクリーンは機能しません。本や動画でそれぞれを学んでも、実戦でこの3つを同時に動かすのは、独力では難しい部分があります。


スクリーンの問題は、指導力ではありません。何を先に教えるかの優先順位の問題です。形を先に入れると、判断は後回しになる。試合で止まるのは、その逆算が最初から抜けていたからです。

言い切りすぎかもしれません。全員に当てはまるとは言いません。ただ、県大会まで届かなかった私が現場で見てきた限り、スクリーンで崩せないチームのほとんどは、形の習得を急ぎすぎていました。…答えのない問いを持ち帰ってほしい、というのが正直なところです。


この記事を読めば、ご自身のチームのスクリーンに「何から手をつけるか」を選べます。全部を一度に変える必要はない。まず1つ、設計の起点を決める。それが、スクリーンを武器に変える最初の一手です。

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バスケの戦術を考える人
チームを強くするバスケ戦術を日々研究しています。中学・高校・社会人リーグでプレー。引退後にバスケコーチのライセンスを取得。現在は静岡で中高生を指導しています。SNS総フォロワー数3.6万人。戦術に関する本も執筆。
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